僕は目で音を聴く(17) 障害者向けのメールなのに - ゴエモンのつぶやき

 警察には、聴覚障害者など電話による110番通報が困難な人のために、メールで通報できるメールアドレス(メール110番)があります。

 関東に住んでいたとき、道を歩いていると人が倒れていたので、さっそくそのアドレスあてにメールで連絡しました。

 電話と違ってすぐ返事がないだろうと予想はしていましたが、15分以上は待ったでしょうか。ようやく返事が届くと、文面には「このメールアドレスは障害者専用です。あなたは聴覚障害者ですか?」−。驚いたと同時に、倒れた人の様子も気になっていたのでいらだちも感じ、「私は聴覚障害者です!」と送ったところ、ようやく警官を手配してくれました。

 おそらく耳や言葉に不自由がない人でも、メールで通報してくる人がいるからでしょう。警察に直接電話するのをためらったり、面倒くさいと思ったりする気持ちがあるのかもしれませんが。何とも言えない気持ちになりました。

 私が今、勤めている保険会社にも同様に、聴覚障害者のお客さん向けのメールアドレスなど、インターネットで連絡を取れるサービスがあります。例えば事故などに遭うと保険会社に一報することになりますが、聴覚障害者の場合は電話連絡が難しいため、メールなどで受け付け、本人確認などをしています。

 会社側は当然、そのための専任スタッフを配置するなど、コストをかけて対応しているのですが、聴者(聞こえる人)でもそのメールを使うケースが増えていけば、コスト面や管理面で追い付かず、場合によってはこうしたサービス自体を中止せざるを得ない事態も考えられます。実際、お客さん相手のほかの会社で、聴覚障害者向けのアドレスを廃止することになったという話も聞きます。

 メール連絡は誰にとっても確かに便利です。けれども聴者が気軽に使ってしまうことで、結果的に障害者への配慮のためのサービスが続かないとなるとやっぱりもどかしく、残念な気持ちです。 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

=2018/08/16付 西日本新聞朝刊=